切削工具-Cutting tools-
技術論文
ツールエンジニア2014年2月号より転載
カットピア裏座ぐり工具
座ぐり加工
様々な加工がある中で、座ぐり加工は決定的な工具が定まっていない。特に裏座ぐりは、下穴を通したワークの裏側から切削しなくてはならず、加工面を見ることが出来ない場合もあるため工具や加工方法の制約も多い。また一般的なフェースミル等と比較すると、切れ刃のワークへの接触長が長いため非常に切削負荷が大きく、ビビりやすくて難易度の高い加工と言える。フェースミル等ではスローアウェー工具が一般的だが、座ぐりに関してはハイス工具を使うことが多いのも、切削抵抗を減らすための手段である。
当社では、グランルンド社(スウェーデン)の座ぐり工具を取り扱っており、幅広いサイズに対応した表座ぐり・裏ザグリ・皿座ぐり用工具をそろえている。組み合わせ式で、ホルダと座ぐりカッタ(及びパイロット)を自由に選択できるのが特徴である。
組み合わせ式裏座ぐり工具
グランルンド社の裏座ぐり用システム(写真1)は、軸となるホルダに手動でカッタを差し込み、回し込んで固定するシンプルな構造であるが、それ故にトラブルが少ないと言える。このハイスカッタには2種類あり、浅座ぐり用のUタイプ(3枚刃)と、深座ぐり用として切粉排出用の溝が側面に付いているUDタイプ(4枚刃)であるが、4枚刃は送りを上げることが出来るというメリットがある一方で、刃の数が多いため価格が上がってしまい、また切削抵抗が高くなってしまうデメリットもあった。UTタイプカッタ(写真2)は深座ぐり可能タイプで刃数を3枚刃に減らした為、価格を低価格のUタイプに近づけることが出来、さらに切削抵抗の低減と、チップポケットが大きくなったことにより切粉の排出性効果を高めることとなった。もちろん現行のグランルンドシステムとも互換性がある。現在のラインナップは座ぐり径φ12~φ55までの29アイテムで、UとUDタイプの良いとこ取りの、幅広い加工に対応することが出来る。
マシニングセンタ用裏座ぐり工具
前述の工具は手作業でカッタを付け外しする必要があるため、自動化したい場合や、加工場所に手が届かないような場合には不向きであった。そのためマシニングセンタ用工具として偏心タイプのBPFシリーズがあったが、新商品としてM8とM10用の小径のSBPFシリーズ(写真3)のソリッドタイプが追加になった。これまではインサートのサイズの都合上、M10サイズが下限であったが、ソリッド化することで小径にも対応することが出来、超硬ソリッドのため剛性も上がっている。
特殊製作について
現行の偏心式スローアウェータイプは、座ぐり径/下穴径が限られてしまうため、規格外のサイズについては都度特注にて対応している。簡単なオーダーフォームで製作することができるため、当社座ぐりカタログ、もしくはHP等を参照頂きたい。


